京都市の企業では外国人社員を採用する際に、会社が社宅や寮を用意するケースがあります。住居探しの負担を軽減できるため外国人材にとって大きなメリットがありますが、住宅費を給与から控除する場合には注意が必要です。
特に「会社が用意した住宅だから給与から差し引いて問題ない」と考えていると、控除方法や金額を巡って外国人社員とのトラブルに発展する可能性があります。
今回は京都で外国人社員の住宅費を給与から高額控除したことで問題となった事例をもとに、企業が注意すべきポイントを行政書士・社労士の視点から解説します。
目次
京都で起こった住宅費の高額控除を巡るトラブル
例えば京都の企業が外国人社員を採用し、会社名義で借りた住居を提供したケースを考えてみましょう。
会社側は家賃のほか、共益費や家具・家電などの費用も含めて毎月一定額を給与から控除していました。
しかし、外国人社員は採用時に「会社が住居を用意してくれる」と説明を受けていたため、住宅費の全額を自分が負担するとは認識していませんでした。
さらに、給与明細を確認すると想定していた以上の金額が控除されていたことから、「なぜこれほど差し引かれるのか」と会社へ申し出ることになりました。
会社側と外国人社員の認識が食い違い、賃金を巡るトラブルへ発展してしまったのです。
外国人社員の住宅費を給与から控除する際の注意点
賃金は全額払いが原則。
労働基準法では、賃金は原則としてその全額を労働者へ支払わなければならないとされています。
税金や社会保険料、雇用保険料など法令に基づくものは給与から天引きしても問題ありません。従業員から同意を得る必要はありません。
しかし住宅費など法律で定められたもの以外を給与から控除する場合には、労使協定など必要な手続きを取らなければなりません。
本人が同意すれば給与から自由に控除できる、とは限らない点に注意しましょう。
住宅費の内訳を明確にする。
「住宅費○万円」とだけ説明するのではなく、家賃、共益費、水道光熱費、家具・家電費など、何にいくら必要なのかを明確にしておくことが重要です。
実際の費用と比較して著しく高額な負担を求めていると、外国人社員の不信感につながります。
入社前に本人が理解できるよう説明する。
お互いの母語が異なるため「社宅を提供する」と「無料で住宅を提供する」が混同される可能性もあります。
雇用契約を締結する段階で住宅費の金額や控除方法を示し、必要に応じて本人が理解できる言語の資料を用意しましょう。
特定技能外国人の住宅費は特に確認が必要
特定技能外国人を受け入れる場合には、住居確保を含めた支援体制についても確認が必要です。
会社が住宅を借りて提供する場合、会社が家賃を負担しなければいけない訳ではありませんが、外国人本人から費用を徴収する際には本人に不当に過大な負担をさせないことが重要です。
実際の家賃や居住人数などを踏まえて合理的な負担額を設定しましょう。
京都の企業がトラブルを防ぐための対策
住宅費を巡る問題を防ぐには、採用時点からルールを明確にすることが重要です。
例えば、次の内容を事前に整理しておきましょう。
- 社宅・寮の利用料
- 家賃の会社負担と本人負担
- 共益費や水道光熱費の扱い
- 給与から控除する金額
- 退去時に必要となる費用
外国人社員へ説明した内容については、書面に残しておくこともトラブル防止につながります。
行政書士・社労士へ相談するメリット
外国人社員の住宅問題は、単なる福利厚生の問題だけではありません。
在留資格によっては外国人への支援が義務付けられていることもあります。給与から住宅費を控除する場合には労働法上のルールも守らなければなりません。
行政書士は在留資格や外国人受け入れ制度に関する手続きを支援し、社労士は賃金、雇用契約、就業規則などの労務管理をサポートします。
両者が連携することで、外国人社員の採用から労務管理まで一貫した体制を整えることができます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 社宅の家賃を外国人社員の給与から控除できますか?
社宅の家賃は税金や社会保険料のような法定控除とは異なります。給与から控除する場合には就業規則への記載や労使協定など必要な手続きを確認しましょう。
Q2. 外国人社員本人が同意していれば自由に控除できますか?
本人の同意だけで十分ではありません。賃金の全額払いの原則を踏まえ、適切な控除になっているか確認する必要があります。
Q3. 社宅費はいくらに設定してもよいですか?
実際の住宅費や居住条件とかけ離れた金額を設定するとトラブルになる可能性があります。地域の家賃の相場や設備、居住人数、築年数などから合理的な金額を算出してください。
Q4. 日本人社員と外国人社員で社宅のルールを変えてもよいですか?
合理的な理由なく国籍だけを理由に不利益な条件を設定することはできません。社宅制度の対象者や負担額について、客観的で明確な基準を設けましょう。
Q5. 行政書士・社労士へ相談するタイミングはいつですか?
外国人社員を採用してからではなく、社宅制度や雇用条件を設計する段階で相談すると効果的です。在留資格と労務管理の両面から事前に確認することで、採用後のトラブルを防ぎやすくなります。
まとめ
外国人社員へ社宅を提供することは、人材の確保や定着を支援する意味でも有効な取り組みです。一方で住宅費の金額がが不明確であったり、必要な手続きを踏んでいなければ、会社にそのつもりがなくても賃金トラブルにつながる可能性があります。
京都で外国人社員を雇用する企業は住宅費の内訳や本人負担額を明確にし、本人が理解できる形で事前に説明することが大切です。
行政書士・社労士と連携し、在留資格だけでなく雇用契約や給与控除、社宅制度まで含めて確認することで外国人社員が安心して働ける受け入れ体制を整えましょう。

