日本で生活する外国人にとって、医療保険への加入は安心して暮らすために欠かせない制度です。
しかし、「健康保険」と「国民健康保険」は名前が似ているため、その違いや自分がどちらに加入すべきなのか分からないという方も少なくありません。勤務先で加入する保険と市区町村で加入する保険では、加入条件や保険料、扶養制度などに違いがあります。
本記事では、健康保険と国民健康保険の違いを分かりやすく比較し、外国人がどちらを選択することになるのかについて、行政書士の視点も交えながら詳しく解説します。
健康保険とは
健康保険とは、法人や一定の条件を満たす事業所の従業員が勤務先を通じて加入する公的医療保険制度です。正式には「被用者保険」と呼ばれ、会社と従業員が保険料を折半して負担する仕組みになっています。
株式会社など法人事業所と一定の事業を営む常時5名以上の従業員が働く個人事業所は強制適用事業所となるため、そういった事業所の従業員は、労働時間などの要件が該当すれば必ず加入しなければなりません。
病気やケガで医療機関を受診した場合、医療費の自己負担は原則3割となり、高額療養費制度や傷病手当金、出産手当金など、さまざまな保障を受けられる点が特徴です。
また一定の条件を満たす家族は扶養に入ることができ、扶養者と同じように健康保険を利用できます。
外国人であっても日本の企業で社会保険の加入対象となる働き方をしている場合は、日本人と同様に健康保険へ加入することになります。
国民健康保険とは
国民健康保険は、自営業者やフリーランス、健康保険の適用事業所でない事業所で働く人などが加入する公的医療保険制度です。加入手続きは住所地の市区町村で行います。
健康保険と同様に医療費の自己負担は原則3割ですが、傷病手当金や出産手当金など、会社員向けの給付は基本的にありません。
また家族一人ひとりが加入者となるため、健康保険のように扶養家族として加入することはできません。それぞれ保険料の算定対象となる点も大きな違いです。
外国人についても、原則として3か月を超えて日本に適法に在留し、健康保険へ加入していない場合は国民健康保険の加入対象となります。
健康保険と国民健康保険の主な違い
両制度はどちらも公的医療保険ですが、加入方法や保険料の仕組み、受けられる給付内容には違いがあります。
最も大きな違いは加入対象です。健康保険は会社などの適用事業所に勤務する人が対象であり、国民健康保険はそれ以外の人が加入します。
また、保険料にも違いがあります。健康保険は給与額を基準として会社と本人が折半しますが、国民健康保険は前年所得を基に市区町村が保険料を算定します。
さらに、健康保険には扶養制度がありますが、国民健康保険には扶養制度がないため、家族全員がそれぞれ加入者となる点も重要なポイントです。
外国人はどちらを選ぶことになるのか
外国人が自由に健康保険と国民健康保険を選択できるわけではありません。どちらに加入するかは勤務先や勤務形態などによって決まります。
例えば、日本企業に正社員として就職した場合は、会社が社会保険の適用事業所であれば健康保険へ加入します。一方で日本語学校や大学へ通う留学生、適用事業所ではない事業所で働いている人、自営業者などは国民健康保険へ加入します。
退職をした場合には、健康保険に加入していた人は国民健康保険に入ります。
このように加入する制度が変わることもあるため、手続きを忘れないことが重要です。未加入期間が発生すると保険料を遡って請求されることもあります。
行政書士・社会保険労務士の視点から見た注意点
外国人の在留資格と社会保険制度は密接に関係しています。特に就労ビザで来日する外国人は、勤務先が健康保険へ適切に加入させているかを確認することが重要です。
また、転職や退職、配偶者ビザへの変更などライフスタイルが変化した際には、健康保険から国民健康保険へ、あるいはその逆へ切り替える必要が生じる場合があります。
行政書士は在留資格に関する専門家であり、社会保険労務士は社会保険に関する専門家です。両者が揃えば在留資格と社会保険制度との関係についても一般的な制度説明や必要な行政手続きの案内を行うことができます。
まとめ
健康保険と国民健康保険は、どちらも日本の公的医療保険制度ですが、加入対象や保険料、給付内容、扶養制度などに大きな違いがあります。
外国人は自分でどちらか自由に選ぶことはできず、勤務状況や在留資格などに応じて加入先が決まります。
就職や転職、退職などによって加入制度が変わることもあるため、必要な手続きを期限内に行うことが大切です。制度を正しく理解することで、安心して日本で生活し、万が一の病気やケガにも適切に備えることができます。
不明な点や手続きに不安がある場合は、行政書士などの専門家へ相談し、自身の状況に合った適切なアドバイスを受けることをおすすめします。

