京都で外国人材を採用する企業が増える一方、「求人票に書かれていた条件と実際の労働条件が違う」という認識のずれからトラブルになるケースがあります。
特に外国人社員の場合、日本の雇用慣行や給与制度に慣れていないこともあり、基本給、手当、勤務時間、休日、仕事内容などについて、企業側が「説明しなくても分かるだろう」と考えるのは危険です。
今回は、京都の企業が外国人採用の求人票と実際の労働条件を変更したことで問題になったケースをもとに、採用時に注意すべきポイントを行政書士・社労士の視点から解説します。
目次
京都の企業で起こり得る求人票と労働条件のトラブル
例えば、京都市内の企業が外国人社員を募集し、求人票に「月給25万円、週休2日、営業・海外顧客対応」と掲載していたとします。
ところが採用選考が進んだ後、会社側の事情によって給与体系や担当業務が変更され、実際の雇用条件は求人票と異なる内容になりました。
会社側は面接時に説明し本人が新たな条件に納得したので内定を出したつもりでしたが、外国人本人は「求人票に記載された条件で採用された」と認識していました。
入社後に給与明細や勤務シフトを確認したことで違いが明らかになり、「聞いていた条件と違う」と問題になってしまいました。
求人票と実際の労働条件が変わる場合は説明が重要
求人募集の段階から採用までの間に労働条件が変更されること自体はあり得ます。
しかし求人票に記載した条件から変更がある場合には、その内容を事前に求職者へ適切に明示することが重要です。
- 賃金・各種手当
- 勤務時間
- 休日
- 就業場所
- 業務内容
- 雇用形態
特にこういった重要な条件については、内定を出す前にしっかりと説明し、両者が納得した上で採用しましょう。「入社してから説明する」のではトラブルにつながります。
外国人採用では仕事内容の変更にも注意
外国人社員の場合、仕事内容の変更は在留資格にも関係することがあります。
例えば、求人時には在留資格「技術・人文知識・国際業務」に該当する専門的な業務を予定していたものの、入社後に別の業務を中心に担当させるケースです。
変更後の業務が在留資格で認められる活動の範囲と異なる場合、外国人本人だけでなく企業側にも大きな問題となる可能性があります。
「人手が足りないから別の仕事も担当してもらう」という場合でも、事前に在留資格との適合性を確認することが大切です。
京都の企業がトラブルを防ぐための4つのポイント
求人票の内容を採用前に再確認する。
過去の求人票をそのまま使用すると、現在の賃金制度や勤務条件と一致していない場合があります。
募集を開始する前に、人事担当者と現場責任者で内容を確認しましょう。
条件変更は明確に伝える。
求人票から労働条件を変更する場合、どの項目がどのように変わったのかを本人が理解できる形で説明することが重要です。
外国人求職者の日本語力によっては、やさしい日本語や本人が理解できる言語による説明も検討しましょう。
労働条件通知書・雇用契約書を整備する。
採用が決まったら労働条件通知書などで必要な労働条件を明示します。
求人票、面接時の説明、労働条件通知書や雇用契約書の内容に食い違いがないか確認しておくことがトラブル防止につながります。
在留資格と仕事内容を確認する。
外国人採用では、労働条件だけでなく仕事内容と在留資格の適合性も確認しましょう。
仕事内容を変更する場合には、その業務を現在の在留資格で行えるかを事前に確認する必要があります。
「説明したつもり」がトラブルにつながる。
外国人雇用で特に避けたいのが、企業側の「面接で説明したから大丈夫」という判断です。
専門用語を使った説明では、外国人本人が十分に理解できていない可能性があります。
給与であれば「月給」だけでなく、基本給、固定残業代、各種手当などの内訳まで明確にすることが大切です。
重要な条件は口頭説明だけで済ませず、書面に残し、本人が理解したことを確認する仕組みをつくりましょう。
行政書士・社労士へ相談するメリット
外国人採用では、求人から入社後まで「入管」と「労務」の両方を確認する必要があります。
行政書士は予定する仕事内容と在留資格の適合性や、在留資格の取得・変更・更新などの入管手続きを支援します。
社労士は求人票、労働条件通知書、雇用契約書、就業規則などの整備を通じて、適切な労務管理をサポートします。
両者が連携することで、求人段階から外国人社員の入社後まで一貫して確認でき、認識違いや手続き上のリスクを減らすことにつながります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 求人票から実際の労働条件が変更されたとしても問題ありませんか?
募集時から労働条件が変更される場合は、変更内容を求職者へ明示し了承を得るなければなりません。求人票の内容と違う条件を十分に説明しないまま採用すると、トラブルにつながる可能性があります。
なお労働条件が応募時と面接時で異なると、求職者に不信感を抱かれる可能性が高いです。そういったことがないように求人を出す前に確認をしましょう。
Q2. 面接で口頭説明すれば十分ですか?
重要な労働条件については、口頭だけに頼らず書面で明確にし、求職者の了承を得ることが大切です。採用時には雇用契約書や労働条件通知書で必要な労働条件を明示しなければなりません。
Q3. 外国人向けの求人票は外国語で作成する必要がありますか?
外国語で作成しなければならないわけではありませんが、本人が条件を十分に理解できるよう配慮することが重要です。
Q4. 採用後に仕事内容を変更しても大丈夫ですか?
企業が一方的に変更することはできません。必ず変更点を労働者にしっかりと説明し同意を得ましょう。
外国人社員の場合は在留資格との適合性にも注意が必要です。変更する仕事内容が現在の在留資格の範囲内かを確認しましょう。
Q5. 行政書士・社労士には求人を出す前から相談できますか?
はい。求人票を作成する段階から相談することで、仕事内容と在留資格の適合性や労働条件の表示方法を確認できます。採用後のトラブルを防ぐためにも、早い段階での確認が有効です。
まとめ
外国人採用では求人票と実際の労働条件を一致させることが、企業と外国人社員の信頼関係を築く基本となります。
内定前に労働条件を変更する必要が生じた場合には、変更点を明確に伝えて理解を得、労働条件通知書や雇用契約書にも正しく反映させることが重要です。
さらに仕事内容を変更する場合は、在留資格との適合性にも注意しなければなりません。
京都で外国人材を採用する企業は、行政書士・社労士と連携しながら、求人内容、雇用契約、在留資格を一体的に確認し、トラブルを未然に防ぎましょう。

